承継する方法
あなたの医院・クリニックは大丈夫?
承継問題チェックポイント
クリニックの承継で難しいところとして、客観的には事業承継について考えなくてはならない状況であっても、院長先生本人がそれに気づいていないことが多いことがあります。
廃院にするつもりはなく、「いつか引き継ごう」という漠然とした想いはあるものの、遠い未来のことと考えており、具体的に手を打たず、手遅れになる傾向があるのです。
そこで、承継対策が必要となる場合のチェックポイントをいくつか挙げてみます。自院の状況を知るための参考にしてみてください。
後継者がいない
いうまでもないことですが、身近に後継者がいないと承継は困難となります。
親族あるいは院内のドクターに後継者が見当たらない場合、早めに何らかの手を打たなくてはなりません。
後継者探しは、周りの同業者や、法律家、コンサルタントなど専門家の手を借りなくては難しいもの。承継する意思を、周囲に早くから示しておくことで、周りを巻き込んで前に進むことができます。
院長・患者が高齢化している
院長の高齢化が、承継のタイミングであることは明らかです。
定年がないドクターですが、まだ元気で働けているうちに承継の手はずをつけておくことが大切です。
また、忘れがちなことに患者さんの高齢化があります。何十年も通われている方も多い中、代替わりが行われていない医院は、業績が安定しているうちに承継したほうがベターです。
長年勤務しているスタッフがいる
長年運営を支えてくれたスタッフはありがたい存在です。
しかし、高齢の院長と古参スタッフの組み合わせは、最も承継に苦労するパターンともいえます。
後継者がいたとしても、いざ承継するとスタッフが過去の運営にこだわり、新しい院長と齟齬をきたすことが多いのです。
院長の目が届くうちに、後継者とスタッフとの関係構築を含めた準備を行う必要があります。
自院の専門が地域の診療ニーズとずれてきている
医院を長く運営すると、地域の住民層もいつしか変わっています。
たとえば若い夫婦やファミリー層が多い地域と、高齢者が多い地域では、必要とされる医療が大きく異なるでしょう。
年齢を重ねると医院経営にあまり熱心ではなくなり、この診療ニーズの変化に無頓着になりがちです。
業績が決定的に下がってしまう前に、ニーズに合う専門性と、新しい感覚を持つ後継者に承継したほうが有利です。
診療所や設備の老朽化が進んでいる
診療所などの建物や機器などは、経年により劣化が進みます。
承継する際は、資産価値を計算することになりますが、この値段はどんどん目減りすることになります。
また、施設を賃貸している場合も、退去時に高額の原状回復費用が掛かることがあるなど、老朽化は承継の際のネックとなることがあります。
漠然と「やめるときには高く売れる」と考えている
第三者への事業譲渡をクリニックの高齢の院長先生とお話ししていると、医院を売れる時はいつでも売れ、しかもあまり根拠なく、値段が上がっていくと考えている傾向があります。
古い医院・クリニックは、業績が少しずつ落ち、事業価値は下がっていることが多いもの。
また、建物や設備の老朽化などもあり、資産価値も低くなっています。まずは財務的な事業価値について専門家を交え概算してみることをお勧めします。
いかがでしたか。事業承継に最も大切なことは、院長が現在の状況をつぶさに見て、将来の承継を具体的に考え、早めに何らかの対策を立てる必要性を認識することではないでしょうか。
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