役立つ節税知識
回収できない診療費はいつ経費に落とせる?
医療機関を運営していると、患者様が窓口で手元のお金がないといったケースなどで、必ずといってよいほど診療費の未回収が発生するものです。
このような収入は経理上はすでに収入として計上されています。つまり、お金が入ってきていないものが所得とされ、課税されていることになります。
未回収の診療費は、一定条件で貸倒として経費にできます。今回は節税とは若干異なりますが、この貸し倒れを経費にできるタイミングについてお話しします。
貸倒の自己判断は非常に危険
すでに診療を行ったものの、お金を受け取っていない場合、債権となり、収入として計上されることになります。
債権は回収ができない場合経費にできますが、このタイミングはわかりにくいもの。
非常に多いのが、未収金がしばらく入ってこない場合、まとめて経費処理してしまうケース。しかし、安易に経費としてしまうのは非常に危険といわざるを得ません。
というのも、税務では、貸し倒れ損失を計上できるときについてルールが厳しく決められているからです。税務調査などで指摘を受ける可能性もあります。
貸倒損失計上のタイミングとは?
税務において貸倒を経費にするケースとして以下の3つがあります。
1.金銭債権が切り捨てられた場合
債権切り捨ては、破産等により法律的に行われる場合があります。また、任意整理や債務免除などで、一定のものは貸倒にできます。
なお、診療費は個人に対するものが多いでしょうが、取引先等、会社に対する債権も会社更生法や民事再生法などにより法律的に切り捨てられる場合があります。
2.支払能力等からその全額が回収できないことが明らかになった場合
3.一定期間取引停止後弁済がない場合等
継続的な取引を行っていた債務者の支払能力等が悪化し、取引を停止後、取引停止と最後の弁済の時などのうち最も遅いときから1年以上経過したときは貸倒処理ができます。
また、債権額とその地域への取立費用などから、取り立てをする意味がなく、支払を督促しても弁済がない場合なども貸倒処理が可能です。
税理士と相談して適切に処理を
貸倒について、税法の基準を簡単に説明しましたが、個別のケースでは、いつ経費処理ができるのか判断が難しいことが多いでしょう。
未収金を貸倒として処理する場合、まずは未回収患者をリストアップし、回収の努力をし、その状況を税理士に報告することが大切です。
いつ督促の電話をした、郵便による通知をした、相手の住所がわからなくなった、などの事情も説明します。税理士は、諸条件を勘案し、貸倒とすることについて合理的に説明できるかどうかを判断し、手続きと会計処理のアドバイスを行います。
税理士と連携しながら、経費にできる金額は確実に、また当局から否認されないよう、適切に処理を行いましょう。
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