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事業をスムーズに
承継する方法

事業と不動産を分離して承継することはできる?

医療法人の承継では、多くの場合、事業そのものと同時に、診療所の建物や敷地、またテナントの権利などの承継が行われます。

しかし、医業の後継者ではない子に不動産を相続させたいといった場合など、診療所の土地建物と、クリニックの経営を分離して承継したいというケースもあります。

事業と不動産の分離承継の可能性について、クリニック承継で頻繁に起こるケースに当てはめて見ていきましょう。

ケース1 医師資格を持つ子がいないケース

医療法人の後継者として考えていた子どもたちが、医師資格を得ることができない、あるいはその気がないなどの理由で、親族内の承継が不可能になることは少なくありません。

医療法人の承継のためには、親族外から医師を迎え入れたり、M&Aを行う必要が生じます。しかし、子には事業は承継できなくても、収益源を引き継いでおきたい場合があります。

そのための手段として、子が出資して株式会社を作り、診療所の建物と土地を買い取るといったことが考えられます。

その会社は、第三者が事業を承継した医療法人と不動産の賃貸借契約を結び、賃料を毎月受け取れるようにするのです。

ケース2 有資格の子と、無資格の子がいるケース

たとえば、2人の子のうち、兄が医師資格を持っており、事業承継が決定しているとします。弟は資格を持っていません。

この場合、財産のうち、事業を承継した兄が引き継ぐ部分が、きわめて大きくなってしまうことがあります。

医師資格を持たない弟には、兄から金銭を支払うということも考えられますが、額が大きくなると難しいでしょう。兄弟間の相続トラブルに発展する危険大です。

そこで、医師資格を持たない弟が会社を設立して、診療所の建物と土地を買取り、ケース1と同様、医療法人と賃貸借契約を結び賃料を毎月受け取るという方法が考えられます。

ただし、この方法は、兄と弟が、事業承継後に、長期に取引を行うことになる方法です。兄弟間でしっかりと話し合い、わだかまりがない状態にしておかないと、禍根が長く残る危険があります。

推定相続人との相互理解が何より重要

医療法人の承継は、親族だけではなく様々な選択肢があります。そして、事業を受け継がなくても、親族に財産を相続させる方法があることがお分かりいただけたと思います。

不動産を分離して承継するケースだけでなく、MS法人を設立し、クリニックの事業の中で医療行為以外の業務を引き継がせるといった方法もあります。

今回紹介した手段で重要なことは、早めに相続人同士の話し合いを行い、相互理解を得ること。相続・事業承継の専門家を交え、自分の意思と、子等の意思を確認する機会を設けましょう。

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