役立つ節税知識
家賃を一年分前払い 決算直前にも有効な節税方法
クリニックや医療法人は、設備投資などのイニシャルコストが高く、また地域の患者との関係性が大切な業種であることなどから、あまり頻繁には移転をしないものです。
テナントを借りている場合、費用のうち、賃料が非常に大きなものになり、当然税額においても大きな影響があります。
とはいえ、家賃は毎月一定額がかかるもの。節税の余地はないと思われるかもしれません。しかし、効果の高い節税方法が一つあります。
「短期前払い」として、1年分の家賃を前払いして経費に落とす方法です。
月払いの契約を前払いに変更する
原則的に費用の前払いをした場合、まだサービスを提供されていない部分は資産として計上して、サービスを受けたときに費用としなくてはなりません。
しかし、支払日から1年以内に継続して行われる等質・等量のサービスの対価は、前払いすることで一括して経費に落とす処理が認められています。
家賃はこの処理ができる代表的な費用。1年分の家賃を支払うことで、支払い方式を変更した年は実質2年分の家賃を経費にできるわけです。
決算期近くになり、大きな利益が予想される場合などに、前払いに変更することで節税が望めます。
短期前払いを経費にするための条件とは
短期前払いを経費にするには、いくつか行わなければならないことがあります。まず、契約の変更。当然のことながら、大家との話し合いを行い、合意しなければなりません。
この場合の契約は、口約束ではNGです。紙ベースで、年間払いにするための契約書等の整備が必ず必要となります。
そして、いったん契約内容を変えたら、以後、継続して適用し、毎年決められた時期に翌年の家賃を前払いとしなければなりません。
前払いへの変更後、利益が大きくなった時に備えて再び月払いに戻す、といったことは認められません。
そして、契約だけではなく、当期の間に支払いの事実があるということも要件となります。年度内の日付の振り込みや引き落としの記録、領収証などの整備を必ず行いましょう。
今期内に契約と支払いを行わなくてはなりませんので、変更は余裕をもって行う必要があります。利益を予想しながら、決算日の数か月前から計画し、大家との話し合い、契約書の作成、支払いなどの実務を確実に行いましょう。
様々な費用で短期前払いを活用できる
短期前払いとして、経費計上可能な費用は家賃だけではありません。生命保険契約、支払利息、信用保証料などでも可能であるため、有効に利用したいところです。
ただし、短期前払いが認められる料金であるか否かは、微妙な判断となるものがありますので、詳しくは税理士にご確認ください。
また、月々支払っていた費用をまとめて前払いすることは、キャッシュ上のインパクトが大きいものとなります。翌年度以降も継続することも想定して、計画的に実施しましょう。
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