事業計画
事業計画書の作成ポイント① 初期投資・費用・自己資金・銀行融資
投資・資金の基本項目の設定
事業計画は、わかりやすく、かつ実際の事業の指標として使えるものにしたいところ。
ここでは、実際にかかわった事例をもとに、架空の医療機関の事業計画を作成し、事業計画書の記載内容と、作成の留意点について解説していきます。
まず1回目は、医院開業の高いハードルである初期投資の資金に関する基本項目の設定です。
初期投資をもれなく洗い出す
医院・クリニックの事業計画の第一歩は、高額になりがちな初期費用を洗い出し、原資を確実にしておくこと。
これは、今後の収支、資金繰り計画における基本条件となるので、なるべくもれなく挙げておきたいところです。
まず大きな項目として不動産があります。テナントを借りる場合、予定している物件の契約料、初回家賃と敷金・礼金、保証料などについて契約内容をもとに記載します。
そして、建物や内部造作などについても記載。建物の状況により、改装の必要性などが異なるため、正確を期したいところです。
また、クリニック開業で高額となる投資として医療機器があります。
医療機器の予算策定の難しいところとして、「定価」にほとんど意味がないことがあります。
必要な機器の市場価格を、同業者やコンサルタントら専門家の意見も聞きながら記載していきます。
諸会費、広告宣伝費 忘れがちな費用の数々
そのほかにも忘れがちな費用があります。たとえば地区医師会や、日医の入会金や会費。
地域によって異なりますが、数百万円になることもあるため、あらかじめ額を調べておきましょう。
そして広告宣伝費。広告は確かに必ず出さなくてはならないものではありませんが、誰も院の存在を知らない時期だからこそ、ホームページや看板、電話帳への出稿等、出すべきところはしっかり出しましょう。
とくにホームページは業者によって値段の幅が大きいので、見積もりをもらったうえで計算します。
その他、勤務時代は当たり前に使っていた備品も、いざ自身で購入するとなると意外と負担が大きいものがあります。同業者の話も聞きながら洗い出しましょう。
最後の運転資金とは、開業直後に必要となり、現金で持っておかないとすぐに事業が回らなくなる資金です。
この見通しが甘いと、開業直後に資金に窮します。だいたい、1000万円から1500万円くらいは見ておいたほうが良いでしょう。
自己資金・銀行融資と初期費用の割り当て
上で挙げた資産ごとに、銀行からの借入、リース、自己資金など、お金がどのように手当てされるのかを計算し、各資産に割り当てていきます。
とはいえ、お金に色は付けられないので、契約上、使途が決まっているひも付きのお金でないかぎり、どの資産に充てるということは、便宜的に決めておけばよいでしょう。
まずは自己資金や助成金など返済が必要ないお金でどれくらい調達できるのかを検討し、不足金額は借り入れを検討していきます。
そして、借入については別に明細を作成し、利息、据え置き期間、返済期限なども記載していきます。この作業により、事業開始後の資金繰り計画を行うためのスタート地点に立つことができるのです。
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