事業計画
事業計画書の作成ポイント② 患者数・診療単価・診療日数
最大のファクター「収入条件」
クリニック運営の成否を決めるファクターとして、収入が最重要であることは論を待ちません。
事業計画策定の際も、どのくらいの収入を得られるのかを、できる限り予測することが重要となります。
収入の予測は困難を伴いますが、「絵に描いた餅」にしないために、必要なことを考えていきましょう。
開業後数年分の収入を予測する
事業計画では、基本条件として、数年分の推移を予測します。
この収入条件は、今後作成する月ごとの資金繰り計画を精度の高いものとするためにも重要です。
以下、収入を構成する項目ごとに解説します。
一日平均患者数
まず、計算するのは患者数。患者数を概算するために広く使われているものに、診療圏があります。
候補地を中心に、地図上に円を描き、患者の行動範囲を示すもので、圏内の人口に診療科ごとの受診率を掛け患者数を割り出します。
診療圏調査はコンサルタントらが提供するほか、専用ソフトウェアも販売されています。
診療圏調査は、古典的ながら重要な手法であり、外部への事業計画の説明にも役立ちます。しかし、全面的に信頼できるものではありません。開業地の細かいロケーション、連携先との関係等も患者数に大きく影響しますので、適宜補正する必要があります。
診療単価
患者の数とともに重要なことに、診療単価があります。診療科ごとの平均単価のデータが非常に参考になります。
ただし、この数字についても5%~10%くらい控えめに見るのが良いでしょう。
また、自費収入についても、科目や自院の方針により大きく異なりますので、自院のスタイル、また他院の状況にも目を向けながら妥当な額を設定します。
診療単価は少し高く設定すると、計画上の数字が劇的に改善します。
それだけに、計算すべきリスクを見落としがちになりますので、保守的な設定を心がけてください。
診療日数
そして、意外に間違えやすいのが診療日数です。
休診日はもちろん、半日休の影響を軽視するケースが多いので注意してください。
週0.5日の休みも、1か月では2日分。前のコラムで、個人クリニックの一日当たりの収入の平均が39万9千円というお話をしましたが、2日分では80万円近くの差が出ることになります。
変数を変え、複数のケースでシミュレーションを
収入額は、えてして「理想値」になってしまうものです。
モチベーションを保つため、あるいは金融機関に将来の成長性をアピールするため、理想的な数字を出すのも結構ですが、楽観モデルのほか、できるかぎりの下振れを意識した複数のモデルも作っておくべきです。
収入の予測はいくら精密に行っても、計画とのブレが出ます。
予測の当たる、外れるより重要なことは、患者数や単価等の各要素が変化すると、損益や資金繰りにどのような影響が出るのかを前もってシミュレーションしておくことだといえるでしょう。
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