役立つ節税知識
医療法人が使用人兼務役員を置くことのメリット
医療法人には、理事などの役員がいます。そして、事務員や看護師等の使用人がいます。
また中には、役員でありながら経理部長、看護師長といったように使用人としての職務を持つ人もいます。
このような使用人兼務役員の報酬は、適切に処理することで税務でメリットがあります。
かなり専門的な話を含みますが、簡単に使用人兼務役員に関する税務の概要を見ていきましょう。
使用人兼務役員とは?
使用人兼務役員とは、理事のうち、実務を行う使用人として職務を持つ人のこと。税務上の設置のメリットとして、給与や賞与が柔軟に決められることがあります。
役員給与は、定期同額給与や事前届出給与など、税務上の経費に算入するには支給の形態や額の要件があります。
しかし、使用人兼務役員の場合、役員としての給与とは別に使用人としての給与については、ほかの同様の役職の使用人と同等の額、支給の仕方とすることが可能です。
また、使用人分の賞与は、役員分の賞与のように事前届出をする必要はありません。
使用人の部分の給与等を業績に合わせて柔軟に支給できることから、モチベーション向上の観点からも使える制度といえるでしょう。
使用人兼務役員には厳格な要件がある
ただし、使用人兼務役員には要件があります。
注意しておきたいことは、理事長、常務理事、専務理事は使用人兼務役員になれないということです。
また、個人クリニックを法人化した小規模法人は経理部長や営業部長といった役職を置く必要性があまりないため、使用人兼務役員はなかなか認められないのが現実です。
親族を使用人兼務役員とすることについても厳しく制限されており、かなり難しいといわざるを得ません。
小規模医療法人で使用人兼務役員が設置されるケースとしてよくあるのが、分院する場合です。
分院のトップは、理事にはなっていても経営には携わらず、実質的には雇われ院長であることが多いでしょう。
この場合、理事兼分院院長として使用人兼務役員になることができる余地が出てきます。
その場合、理事兼分院院長となることを決議した総会議事録の整備や、役員としての給与と分院長としての給与をしっかり分けた給与計算を示せるようにしておくことが大切です。
設置の際は、必ず税理士を交えて計画を
医療法人においては、使用人兼務役員を置くことはできますが、小規模クリニックでは難しさがあるのも事実です。
しかし、税務上のメリットは大きく、可能であるなら検討する価値は十分あります。
税務当局から、課税を免れるためだと判断されないようにすることが重要であることはいうまでもありません。
税務に関する専門的な知見を必要としますので、検討の際は必ず税理士に相談し、無理のない計画で行いましょう。
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