クリニックの内装はなぜ重要なのか

クリニックを開業する際、院のコンセプトを表現する「内装」は極めて重要です。

内装の良し悪しは、クリニックで働く人、そして患者さんにとっての快適性、利便性に深く関わるため、こだわりを持ちたいものです。
ここでは、業績にも大きく影響する内装のポイントを解説します。

内装で気を付けたいポイントとは？

最近、スタイリッシュな雰囲気を持つクリニックが増えました。しかし、豪華な内装で当初予算をオーバーしてしまう例もあるようです。また、内装に無頓着すぎ、患者を遠ざけてしまうクリニックも見受けられます。

ごく一部ですが、クリニックの内装のポイントをまとめましたので参考にしてみてください。

受付

クリニックに入って最初に目に入る場所。患者さんも緊張し、気分も重くなりがちなだけに、明るく入りやすい雰囲気としたいもの。清潔感はもちろん、柔らかい照明なども工夫を。

位置は、受付から外の様子、待合の様子がわかる所が良いでしょう。そして、とくに紙カルテを利用している場合は、診察室との導線を確保することも重要です。

患者のプライバシーに配慮し、受付内の書類やパソコン画面が外部から見えない配置にすることも大切です。

待合室

ストレスなく、ゆったり時間を過ごせるようにしたいもの。受付から待合室、また診察室から待合室といった双方向の移動をスムーズにできるように配置しましょう。

エントランスから入ってきた患者さんと目が合ったり、トイレから出てきた患者さんと目が合ったりするようなレイアウトはなるべく避けましょう。

子供が多い科目のクリニックは、キッズスペースや授乳室など、快適に過ごせる空間づくりが、リピートでの利用につながります。

なお、短時間で多くの患者を診ることが多い科目、待合から診察室が離れている場合などは、診察室前の「中待ち」の設置も検討を。

トイレ

男女別が好ましいですが、無理な場合でも、車いすでの利用、ベビーチェアの設置など、ユーザビリティを高める工夫を。尿検査の紙カップを手にしたまま、廊下に出なければならないような構造はNGです。

トイレの重要ポイントは何といっても清潔感。設備との接触をしなくても済む、人感センサー照明、水道蛇口の自動化、エアータオル、清掃しやすい床材や便器等、比較的安価でできる工夫は数々あります。

トイレは施設全体の質を決めるといっても過言ではない設備。他にはないこだわりが全体の印象をがらりと変えてくれます。

診察室・処置室

患さんと向い合う場ですから、華美な装飾は必要ありません。シンプルで清潔感があり、ドクターや看護師の皆様が、働きやすい空間を作りましょう。

たとえば、各部屋との通路を設置することなど、導線確保は最重要となります。実際の執務に合わせ、どのように人が移動するのかシミュレーションしましょう。

書類を置いたり、パソコンの画面を見る診察机は、自分の利き手側と反対側に患者に座ってもらえるような配置にするとよいでしょう。

もっとも、診療科目、設置する設備や機器により、ポイントは大きく異なります。必ず、同じ科目の開業経験者や、クリニック開業に詳しい専門家に相談を行いたいところです。

経験の深い専門家への相談を

内装で最も重要なことは連携する専門家。テナントオーナーや内装業者、また設計士であっても、クリニックに携わったことがある人は、それほど多いとはいえません。開業後に不便が生じたり、関連法令を理解していなかったり、といったことも起こりえます。クリニックを開業する際は、診療所の内装に詳しい専門家に相談しましょう。