事業計画
事業計画書の作成ポイント③ 人件費・ランニングコスト・固定費・変動費
人件費・ランニングコストを知る
事業計画を立てる前提となる基本条件として、これまで開業資金・設備と収入条件をみていきましたが、最後に費用にスポットをあてます。
人件費などの固定費、変動費それぞれの特徴をおさらいしながら、クリニック経営のランニングコストの内訳について考えていきましょう。
固定費を概算、生活費も考慮する
医療機関において、費用の最も大きな部分を占めるのが人件費。事業計画では、雇用する看護師、准看護師、事務員等のスタッフについて、職種、月額給与、賞与等を書き出し、人件費を計算していきます。同一の職種の給与の状況は、類似院の求人情報などで調べることができるでしょう。
人件費は開業後、数年間の推移を予測していきます。
収入の項で概算した患者数の増加などにより、雇用する人数、職種も変化すると考えられます。
また、継続して雇用するスタッフの昇給も考慮する必要があります。
人件費は固定費としての性格を持ちますが、固定費にはその他、テナントの家賃や水道光熱費、保守料などがあります。
固定費は経営に大きく影響しますので、できるかぎり洗い出して表に記載していきます。
また、個人の現金を事業資金として投入することになるため、生活費についても固定費として概算しておくとよいでしょう。
なお、機器や設備など減価償却資産について、取得価額と耐用年数、定額法や定率法の償却方式を考慮して、1年ごとに費用計上される額も記載します。
(詳しい計算方法は税理士等にご確認ください)
変動費は収入との比率で概算
次に変動費を考えていきます。変動費は収入が増えるにつれ増えていく費用。
医薬品費や診療材料費、検査外注費などがこれにあたります。
変動費は、収入に応じて増えるため、収入と変動費の割合(変動費率)をもとに概算するのが有効です。
クリニックにおける変動費率は、診療科ごとに平均値がありますので、それを参考に記入していくとよいでしょう。
とはいえ、自院の診療内容や方針などにより比率は変わりますので、実情に合わせて変動費の補正が必要となることは言うまでもありません。
ランニングコストを知ることで
今回計算した費用は、基本条件として最初に計算した初期投資とは異なるランニングコストになります。
経営においては、初期費用を抑えることのほか、日ごと、月ごとにかかるランニングコストを抑えること、またランニングコストの負担がいくらあるのか、正確に把握することが非常に重要です。
収入と比べ、費用は正しく計算すれば、予測と実際の金額を比較的簡単に近づけることができます。
固定費と変動費の違いも意識しながら、クリニック運営の支出をリアルに感じられるよう、丁寧に計算しましょう。
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