役立つ節税知識
慶弔費用を確実にクリニックの経費に計上する方法
出来事に対し、お祝いやお悔やみを渡すことは、日本に古くからある慣習です。クリニックでも、様々な人に対しこのようなお金を支出することがあると思います。
税務では、このような慶弔費を支出した場合、経費に計上することができるようになっています。慶弔費用を経費にできる場合についてや、勘定科目と経費算入額の違いなどを解説します。
福利厚生費なら全額経費算入できる
慶弔費用は、クリニックの内部の人に対するものか、外部の人に対するものかにより税務での扱いが変わります。
従業員やその親族が、結婚や出産をした場合などのお祝い、あるいは亡くなった時の香典といった出費は、福利厚生費として全額経費にできます。
ただし、経費にするためには条件があります。まず社会通念上妥当な金額であること。常識的な範囲での額を設定すれば否認されることはありませんが、高すぎる場合は給与として扱わることになるので注意が必要です。
また、慶弔費用の支出は、あらかじめ支給条件や額など、慶弔金支給規程等を基準に行う必要があります。
就業規則、その他に定める慶弔に対する規程、その規程に従いスタッフらが支給申請した書類、実際に支給したことを示す書類などを、後から提示できるようにしておきましょう。
福利厚生費にならない慶弔費用とは
次に、クリニック外部の人への慶弔費用について説明します。取引先など、外部の人に対する慶弔費用については、交際費等にあたります。
交際費については、別の項でも解説しましたが、法人の場合、経費にできる額に制限があります。ほとんどの法人は800万円までであれば経費に算入できます。
もちろんクリニック経営に関係のない相手先は、クリニックの経費にすることはNGです。とはいえ、この線引きは意外と難しいものです。
たとえば、医師同士の連携の形態である病診連携先、診診連携先ドクターなどであれば、その方々に対する慶弔費用を交際費としてよいでしょう。
しかし、同じ医師であっても、ただの大学の先輩・後輩などへのお祝いは、否認されるケースがあります。事業に関連する人間関係であるかを慎重に判断する必要があります。
慶弔費用を支出する場合の基準を事前に作成
慶弔費用は、経費にできるものであっても、経費に計上していないケースもあるようです。医院ではなく個人の立場でお金を出したいということであれば、もちろんそうすべきですが、計上できるものをしていないケースも多いようです。
その際は、場当たり的に「このお金、経費で落とせるのでは?」といった考え方をするのではなく、税理士に相談しながら、あらかじめ、従業員への支給規程の整備等、経費にできる慶弔費用の範囲を明確にしておくことが大切です。
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