役立つ節税知識
小規模企業共済と国民年金基金 所得控除の効果
個人クリニックの経営が軌道に乗り利益が上がってくると、気になるのが税負担。
無理なく確実な節税方法として、まず検討したいのが、公的な社会保障制度による所得控除です。
今回は、将来の備えになるだけではなく、毎月の掛け金の全額が所得から控除され、税額を抑える高い効果がある小規模企業共済と国民年金基金を紹介します。
小規模企業共済の概要とメリット
小規模企業共済は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する、個人事業主や経営者のための共済制度。
毎月掛け金を積み立て、個人事業を廃止した場合や法人役員を退職した場合に、共済金を受け取ります。
いわば個人事業主、中小経営者の「退職金」の役割を担っています。
月々の掛け金は、1000円から500円単位で自由に決められ、年の途中でも増額・減額ができる使い勝手の良さが魅力です。
小規模企業共済の税務上のメリットは、なんといっても掛け金が全額所得控除できること。
上限は月7万円なので、年額84万円まで所得を圧縮することができます。
なお、退職後の共済金の受取も、公的年金や退職金のように、税制上優遇されています。
さらに小規模企業共済は、1年分の前納制度が設けられていることもメリットです。
12月に、来年分の84万円の掛け金を納めれば、最大168万円まで控除可能となります。
当然、翌年の所得控除額は小さくなってしまいますが、思いのほか大きく利益が上がった年にすぐにできる節税策として重宝します。
国民年金基金のメリットと注意点
個人の場合、義務として国民年金に加入していますが、この上乗せとして利用されるのが国民年金基金です。
掛金月額は、給付の型、加入口数、年齢、性別によって決まります。
掛金の上限は、月額6万8000円で、年間81万6000円が限度額となります。
なお、個人型確定拠出年金に加入している場合は、その掛金と合わせて月6万8000円以内となります。
国民年金基金も全額所得控除ができるため、節税効果は民間の年金保険の保険料よりも高くなります。
一つ注意しておきたいこととして、個人クリニックから医療法人になった場合、国民年金基金を解約する必要があることです。
解約したとしても、それまで支払った分については将来給付が受けられますし、節税効果もないわけではありませんが、近い将来に法人成りの予定があるのであれば、国民年金基金への加入は見合わせたほうが良いかもしれません。
2つを併用することも可能
小規模企業共済と、国民年金基金は併用することが可能です。
小規模企業共済の前納制度も利用し、2つの制度を最大限に活用すると、249万6000円の所得控除、税率を50%とすると124万8000円の節税が可能となります。
公的制度としての安心感、そして高い節税効果を持つ2制度。大きな利益が出た際は、未加入であれば真っ先に検討したいところです。
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