役立つ節税知識
医療法人の交際費 全額を経費に落とせる金額は?
経営者には、人付き合いがつきもの。医療法人の経営においても、事業に関連した接待、供応、贈答などの「交際費」の支出が頻繁にあります。
交際費は、事業に関連する支出ですから税務上も経費として認められます。
ただし、額には制限があります。
医療法人経営者の方々にとって最も関心も高い税務のひとつといっても過言ではない、交際費の税務について解説します。
交際費800万円まで経費にできる法人
交際費とは、 事業に関連した接待、供応、贈答などに使われる費用。取引先との飲食費、お歳暮、
ご祝儀や香典、謝礼などの費用がこれにあたります。
個人クリニックの場合、税務上の経費に計上できる交際費の金額に制限はありません。
しかし、医療法人では、交際費の経費計上に制限があります。
医療法人では、出資金1億円以下の医療法人や基金拠出型医療法人のうち、(純資産 – 当期利益)× 60%が1億円以下の法人は、年間800万円まで経費とすることができます。
なお、これ以外の規模の大きい法人は800万円の枠はなく、交際費のうち飲食費のみ50%が税務上の経費に算入できます。
800万円が交際費枠となる出資金1億円以下の法人規模は、個人クリニックが法人化した形の医療法人であれば、ほとんどが該当するといってよいでしょう。
800万円枠とは別にある「5000円基準」とは?
医療法人の交際費は、税務上経費にできるのは年間800万円まで。
しかし、もう一つ覚えておきたいのがいわゆる「5000円基準」です。
交際費のうち、法人外部の方との会合で支払う飲食代については、一人当たり5,000円以下のものは上記の800万円の枠に含める必要はなく、全額経費とすることができます。
なお、5000円基準の対象となる飲食費は、領収書と参加メンバーの記録のあるものに限られます。該当する飲食を行う場合、参加者の所属する会社等を含め、必ず記録を取っておきましょう。
また、対象となるのは飲食等のみであり、5000円以下であっても、お歳暮・お中元など飲食代でない交際費は対象外。この場合は、800万円の枠に含めて計算します。
税理士とのコミュニケーションが大切
医療法人であれば、交際費の800万円の損金算入枠、また5000円基準はうまく使っていきたいところです。
飲食品等を支出する場合は、まず事業に関連したものであるのか、そして交際費の枠に含めるべき費用なのか、含めなくてもよい費用なのか、について意識してみてください。
税務当局は、医療法人の交際費について、事業に関連する出費ではなく、院長個人の飲食費が付け回されているのではないかといったことに目を光らせています。
交際費の計上は、個別判断が多くともなうことになるので、普段から税理士とのコミュニケーションを取り、税務上の間違いを起こさないようにしましょう。
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