役立つ節税知識
医療機器のリース契約 税務におけるメリットとは?
個人クリニック・医療法人では、医療機器や事務機器を設置するため、購入のほか、リース取引が選択肢となります。
リースには初期投資を低くし、費用が平準になるなどのメリットがありますが、リース契約を戦略的に使うことにより節税の効果も期待できます。
リース取引の税務における影響を見ていきましょう。
購入よりも早く経費化することができる
まずリース契約についておさらいしましょう。
リース取引とは、リース会社が機器等を購入し、事業者と賃貸借契約を結ぶ契約。 事業者は機器を利用しながら、期間中に機器の代金をリース料として支払います。
機器を借りるとはいえ、お金の出方は、機器等を分割払いで購入した場合に近くなります。
なお、リース取引には様々な形態がありますが、本稿で取り上げるリース取引は、リース期間が満了すると、機器をリース会社に返さなければならない所有権移転外リースです。
償却期間短縮による驚きの節税効果とは?
購入した場合と、リースをした場合の税務の違いです。
高額の機器等を購入した場合、税務上は購入した年に全額を経費とするのではなく、耐用年数の間、毎年一部を減価償却費として計上します。
しかし、リース料は、税務上の経費として落とすことができます。
仮に、リース期間が、その機器の法定耐用年数よりも短い場合、より早く経費化することができることになります。
リース期間は、法定耐用年数の70%(10年以上は60%)まで短くすることができるとされています。
少しわかりにくいかもしれませんので、ここでコピー機を例に、購入とリースの違いを見ていきましょう。
購入の場合、コピー機の耐用年数は5年ですから、減価償却により5年間かけて経費にします。一方、リースの場合、5年×70%=3.5で、1年未満の期間は切り捨てますので、3年のリース期間を設定し、リース料を経費にすることができます。
ただし、リース期間が、その資産の法定耐用年数の70%(10年以上は60%)を下回ると、購入したとみなされることに注意してください。
機器の耐用年数をもとに、リース会社と相談しながら、契約形態を考える必要があります。
そのほか、リース取引の節税効果として挙げられるのが、償却資産を所有することで課税される固定資産税がかからないことがあります。
所得税や法人税に加え、資産税のメリットも考慮して、税額がどれだけ抑えられるのか、シミュレーションを行う必要があるでしょう。
シミュレーションを重ねて有利な設備投資を
もちろん、リースを利用するか否かは税額だけで判断はできません。
支払総額は、購入よりリースの方が高くなることが通常であるため、資金が潤沢にある場合はリースにせず、購入したほうが有利になることもあります。
銀行借り入れによる資金調達での割賦販売などとも比較して、どの方法が有利になるかを、損益、キャッシュフローへの影響を踏まえ、検討することをお勧めします。
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