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事業計画

医院・クリニックの支出の特徴とは?

クリニック経営の財務面で重視すべきことは収入だけではありません。
利益は収入と支出の差額。支出をなるべく低くして、利益の出る体質にする必要があります。

クリニック経営にはどのような費用が多く、他の業種と比べて支出の内容にどのような特質があるのかについて正しく知り、経営戦略に落とし込むことが大切です。

クリニックは人件費が高い業種

「第20回医療経済実態調査」によると、個人クリニック(無床・全科目)の1施設あたりの平均支出額は6027万4000円。

そのうち、最も高いのが「給与費」で、2210万5000円と総費用の36.7%。次いで医薬品費 の1587万2000円となっています。

経営を分析する際に覚えておきたい概念の一つは「固定費」と「変動費」です。
固定費とは、売上高にかかわらずほぼ毎月定額がかかる費用のこと。

一方、変動費は仕入のように、売上に伴って比例的に増えていく費用です。

クリニック経営の費用では、給与費は固定費にあたります。

給与は収入の多寡に拘わらず、毎月・毎年必ずかかるものだからです。
また2番目に多い費用である医薬品費は、診療行為に伴い増加する変動費となります。

「固定費型」と「変動費型」の特徴

医療機関は固定費の比率が高い「固定費型」の業種といわれます。
特に、院外処方の場合は変動費である医薬品費が少なくなるため、さらにその特徴が顕著となります。

またクリニックにおける固定費には、人件費のほかにテナント家賃、医療機器を購入した場合の減価償却費、リース料、医師会の会費などが考えられます。

参考までに、「変動費型」業種の典型例は生活日用品等を取り扱う小売業です。

この業種・業態は一般に大量の仕入を行い、販売して一定ロットの利益を得る形となることが多く、相対的に店舗やスタッフなど固定費の支出割合は低くなります。

また店舗や専門販売員等を持たないネット通販などでは、その傾向がさらに強くなります。

変動費型の業種は、売上が少ない時期はそれに連動して仕入も少なく、収支バランスを取ることが比較的容易である一方、売上が増加しても同時に必ず仕入も増加するため、利益の増加額は抑えられる形となります。

しかし、固定型のクリニックでは、診療収入がダウンする局面でも医薬品費の減少による支出のダウンは限定的です。

逆に増収の局面では、増加する収入と連動して増える医薬品費は少ないため、差引利益の増加額が大きくなります。

つまり、クリニック事業は「利益が出やすい反面、マイナスも大きくなりやすい事業形態」ということができます。

事業計画は固定・変動の違いを意識して

事業計画の算定においては、このようなクリニックの特性を踏まえ、投資規模や体制とその影響を分析することが大切です。

テナント契約や内装、医療機器の購入・リースの規模と内容、また看護師、事務等のスタッフ体制をどのような形とするか、特に慎重に考える必要があります。

固定費は、一旦支出を決めるとやり直しが難しく、利益の出にくい体質が固定化して長期に経営を圧迫する危険があるからです。

もちろん、戦略的に投資すべきところには大胆に資金投入すべきですが、投資効果を明確に想定できない部分や機能として抑えるところに対しては、「選択と集中」の思考でメリハリを付けた予算を組むことが重要になります。

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