役立つ節税知識
決算前の節税 未払決算賞与でモチベーションUP
医療法人の経営では、従業員に毎月の給与のほか、賞与を支給することがあります。
賞与の時期は夏季、冬季の2度が一般的ですが、そのほかに決算前に利益を還元する決算賞与を導入する法人もあります。
決算賞与の節税面でのメリット、また支給する際の注意点などを解説します。
今期の業績に合わせ支給できる決算賞与
決算賞与は、期末に、年度の業績に合わせ、利益を従業員に還元するもの。
スタッフのモチベーションのアップ、定着率の向上にもつながる効果があります。
そして、決算賞与は、節税面で大きなメリットがあります。
夏季や冬季のボーナスと比べると、支給する時点で今期の業績がほぼ正確にわかっているため、業績が良く、所得が高くなると思われる年度に決算賞与を出すことができるからです。
しかしここで問題があります。
税法上、賞与は、原則としてその支給日の属する事業年度の損金の額に算入することになっています。
決算賞与は、決算の直前に支給を決めるものであることから、支払いを年度内に完了させるのが難しいことが多いのです。
未払い賞与の損金算入の要件とは
ただし、決算賞与を年度内に支払うことができない場合であっても損金算入の方法がないわけではありません。
税法では、一定の要件を満たしている未払賞与は算入が認められることになっています。
要件は以下の3つです。
①支給額を各人別に、かつ同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知すること。
通知は、給与明細などの文書やメールなど適宜の形式で行えば問題はありません。
のちに、全員に通知していることを示せるようにしておくことが大切です。
②通知した金額を、決算後1か月以内に支払っていること。
たとえば3月決算の法人であれば4月末までに実際に支払う必要があります。
③通知した金額を実際に会計上未払として損金計上していること。
未払賞与が年度内に確定し、損益に反映していなければ損金算入は認められませんので忘れずに記帳しましょう。
利益予想を早めに行うことがカギ
節税面を考えると、夏季賞与・冬季賞与を低めに抑え、経営上の利益が見えた後の決算賞与を高めに設定するほうが有利であると考えられます。
従業員の理解を得ながら、決算賞与の支給要件を決め、制度として定着させることで、通知や経理などもスムーズに行うことができるでしょう。
また、決算賞与の最も重要なポイントは、利益の予想を早めに行うことです。
決算後1か月以内の支給に間に合うよう、決算日の数か月前から、税理士など会計税務専門家を交え、今期の業績予測、税額の計算、賞与額について話し合う機会を設けることが大切です。
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