役立つ節税知識
医療法人の決算日はいつがいいのか?
法人を設立する際、必ず考えておかなくてはならないことの一つが事業年度の開始と終わりの日。
年度終わりとなる決算日は、以後、法人として事業を行う上で重要な区切りとなります。
深く考えずに決めてしまうことも多い決算日ですが、実は、節税の観点から重要になることがあるので、戦略的に設定したいところです。
決算日は何を基準に決められている?
個人事業では、会計年度として暦年が使われます。
つまり、1月1日にスタートし、12月末が決算日です。
しかし、医療法人や株式会社などの法人は、事業年度を自由に決めることができます。
そして決算日の後、2か月以内に法人税の申告を行うことになります。
ご存知の通り、日本企業は4月1日に年度開始、3月末決算としている法人が最も多いとされます。
医療機関でも、他法人と横並びにすることの安心感もあり、3月決算、あるいは暦年に合わせ12月決算とすることが多いようです。
他と決算期を合わせることにも、メリットはあるでしょう。
しかし、ここで大切な考え方があります。それは業種特有の「繁閑期」。
えてして、決算前後は忙しくなりますので、なるべく業務に余裕があるときに合わせて決算実務が行える設定にするほうが都合が良いのです。
そして、決算期と繁閑の関係は、「節税」においても重要になることがあります。
季節変動の影響を見据えて節税対策
節税は、今期にどの程度の納税があるのか早めに予測できたほうが有利です。
今期の利益が大体予測できれば、経費の支出が今期のほうが良いのか、来期に伸ばすほうが良いのか、といった方策を検討することができます。
だいたい、決算3か月くらい前に、納税予測に基づく対策ができれば対策の幅が広がります。
皆様のクリニックの繁閑期はどうでしょうか。
たとえば内科系クリニックの場合、風邪が多くなる冬場に向けて患者数が増え、12月から年明けにピークを迎え、そこから徐々に減っていく所が多いようです。
個人事業のように暦年で業務を行うと、決算期3か月前の、10月までにはどのくらいの患者さんが来るのか予想がつきにくく、納税予測と実際の申告納税額との差が大きくなるということがあります。
そのような傾向のある個人クリニックであれば、法人成りはよい機会。
たとえば患者が比較的少ない7月決算とすることが考えられます。
7月決算なら、1月、2月のピークを終えたあと、春頃に年度の業績予測と納税予測を行い、節税対策を行うことができるため、精度はかなり高まります。
医院の実情を考えながら計画的に設定を
決算期が経営、とくに税務に与える影響についてお話ししましたが、当然のことながら、医療法人の科目、その他患者さんの状況で、季節変動の実情は異なります。
個人クリニックから法人成りを行う場合、改めて自院の患者数の季節推移を見直し、税理士とともに、節税面で有利な決算期はいつなのか検討してみることをお勧めします。
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